学習の高速道路について。

ブログ毎日書くようになって強く感じるのが、

何かアウトプットして何らかのフィードバックをもらう、というのはやはり凄く勉強になるな、ということ。

要は、

a)インプットする → b)アウトプットする → c)フィードバックをもらう → それを元にまたアウトプットする(aかbに戻る)
(学術的な表現はまた別だと思いますがご容赦を)

学習のスピードは、このサイクルをどれだけ高速回転できるかに掛かっています。

もちろんブログに限らず、例えば・・・

外国語を学ぶ
a)単語や文法を覚える →  b)外国人に話をしてみる → c)何らかの返事をもらう → 良かったこと悪かったことを認識し、またaかbに戻る。

料理をする
a)料理法とレシピを覚える → b)作ってみる → c)味の善し悪しを聞く → 良かったこと悪かったことを認識し、またaかbに戻る。

以下、プレゼンテーション、楽器、スポーツ、etc…

トライアンドエラーを繰り返し、このサイクルをどれだけ早く廻せるか。何に習熟する時も、この学習サイクルの基本は変わらないと思います。

面白いなと思うのは、分野によっては、a)インプットとc)フィードバックの「多様さ」「量」が、昔に比べると飛躍的に増えてる、ということ。

ブログで言えば、

1. インプットに必要な情報がネット上に大量にある。

考える元ネタとなる材料だけでなく、お手本となる文章や考察という意味でも、ニュースサイト、ブログなどを始めとして多様かつ大量なコンテンツ(文章、動画など)がネット上にあがっています。書籍でないと得られない知見も、当然たくさんありますが、書籍以外からの情報も大幅に増えました。

2. SNSを通して、知人・友人(または面識がない人)からフィードバックをもらえる。

昔であれば、毎日自分が考えたことを人に話すと言っても、家族、学校、職場の数人〜10人が限界ですし、リアルタイムで話す必要があるので時間も限られます。このブログは、Facebookの知人・友人300人に更新を通知しています。もちろん読んでくれる人は限られるでしょうが、時間も距離も超え、多様なバックグラウンドを持った人からフィードバックをもらえるようになりました。

言い換えるなら、

1. ネット上で静的な情報(知識)が爆発的に増加すること。

2. ネット上で動的なフィードバックサイクルが廻せること。

この2つの条件を満たせれば、同じような仕組みがいろんな分野で起きてきそうです。梅田望夫さんのベストセラー「ウェブ進化論」で、羽生善治さんが「学習の高速道路」と表現したことですね。

将棋の世界ではまさしくこれが起きています。

1. 大量の情報がネット上にある。棋譜、最先端の局面についての研究内容などが大量に共有されています。

2. 時間も距離も超えフィードバックが得られる。24時間365日ネット上で、日本全国の人と対戦して腕を磨くことが可能です。

実際に将棋の世界に起きた変化として、

将棋の勉強に没頭しさえすれば、昔と比べて圧倒的に速いスピードで、かなりのレベルまで強くなることができるようになった。そこが将棋の世界で起きているいちばん大きな変化なのだ

と羽生善治さんは語っています。

インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞:梅田望夫・英語で読むITトレンド – CNET Japan

じゃあ、どんな分野でもこの高速道路が敷かれるのか?

向き不向きが分野によってありそうです。

例えば、料理。

もちろん以前取り上げたように、Cookpadなどのレシピ共有サイトのおかげで全国の平均値は上がったと思います。

レシピという静的な情報(知識)は爆発的に増えたわけです。しかし上記学習サイクルに照らせば、知識だけ増えても、成長は限定的。料理のレシピが増えたら、今度はそれをどんどん作って、なるべく多くの人に食べてもらって、フィードバックを得て、ということを繰り返さないと、(かなりの才能がなければ)一定以上に腕前は上がらないでしょう。(お母さんが夫や子供に毎日色んなレシピを試してあげて、その家族の中ですごく幸せな食卓が囲まれることは、もちろんとても素晴らしいことです。)

つまり当たり前のことですが、アウトプットがリアル世界にしかできないものは、ネットの恩恵を限定的にしか受けられないということ。

逆に言えば、ネットと親和性が高い分野(アウトプットがネットにあげられるもの)や、技術の進歩でデジタル化がこれから起きてくる分野では、動的なフィードバックサイクルを回せる仕組みが、もっと出てきそうですね。

例えば、語学学習系であれば、相互添削型SNSであるLang-8とかはそれに近いし、アメリカでは教育に特化したSNSなどもたくさん出てきています。

Tech Learning : Top 20 Social Networks for Education

一方で。

学習の高速道路は、いつまでも伸びているわけではありません。ある分野での最高峰は(その中でさらに超一流との優劣はあるにせよ)それで食べていけるプロになることだと思います。将棋の世界ではセミプロレベル(=アマチュア最高レベル)にまではいけるが、そこから先に突き抜けるには、何か別の要素が鍵になるのでは、と述べられています。

つまりプロになれるわけではない。でもセミプロレベルになれるスピードは一気に早まる。

これは何を意味するのか?

自分が興味がある分野で、高速道路が敷かれている、または自分の努力次第でそれに近い環境を自分の周りで構築できそう、ということであれば、どっぷり浸かってみるのは面白いと思います。趣味として留めておくのであれば、こんな良い時代はありません。

一方で、現在その分野のプロであれば、セミプロが増えることは単価下落のプレッシャーが強くなることを意味します。突き抜けた超一流の人達や、徹底的な差別化ができている人以外は、大渋滞により大変なことに。

他にも子供がいる人にはどういう影響が?とか色んな観点があるでしょう。

何に興味があるか、自分はどんな立場なのかによって、ポジティブ、ネガティブ両方の側面がありますが、少なくとも自分にとってどんなインパクトがあるかは、一度考えておいても良いかも知れません。

いずれにしても、今はまだ仕組みが出来ていない分野でも、上記に合致すれば将来的には何らかのサービスが出てくる可能性が高そうです。

まとめると、

– デジタル化で学習に必要な静的な情報(知識)はかなり充実してきたが、何かに習熟するには動的にフィードバックループを廻すことも重要。

– アウトプットがネットにあげられるものは、一旦仕組みが出てくれば、将棋の世界で起きたことと同様、仕組みさえ出来れば、その分野では一気にセミプロが増えることになる。

– 今、仕組みがないとしても、時間の問題と考えて今から色々準備をしておくと良いかも。

既にこんなサービスあるよ、というのがあったら国内・海外問わずぜひ教えてください!

ちなみにカジケンの会社、絶賛エンジニア募集中です!(笑)