2年ほど前ですが、プレゼンテーションについての素晴らしい記事がありました。
良い話し手になるための6つのエッセンス / mocchiblog.com
震災の際に「PRAY FOR JAPAN」というサイトを立ちあげ、「すごい時間割」などのアプリを開発するスタートアップ、Labitの創業者である鶴田浩之さんが、IVS(Infinity Ventures Summit)のLaunch Padという自社製品やサービスのプレゼン大会で、若干20歳という史上最年少出場者にも関わらず優勝したときの話をまとめたものです。
文中内の、プレゼンテーションの成功から振り返った、彼の高校時代の卒業式の送辞スピーチについて、一部を抜粋してご紹介します。
〜引用ここから〜
”Launch Pad前夜のレセプションパーティで勝屋久さんからもらったわずか一言のアドバイスは、僕のスタンスを改めさせてくれて、プレゼンを最初から作り直すきっかけになりました。プレゼンを頭で考え始めたら、終わりだからね、と。気持ちが大事だよ、と。とにかく気持ちというものは包み隠さず聴き手に伝わるから、と。プロダクトを心から愛していて、その未来を信じているのなら、それをそのまま伝えればいいだけの話だから。
「頭で考えないで、ハートでプレゼンするんだよ」
とてもありふれた、それでも一番心に響き、そして勝屋さんが言うと説得力のあるアドバイスでした。
僕は子どもの頃から目立ちたがり屋で、家族や親戚からはスピーチが上手いねと言われて育ちました。大人数のまえで頻繁に話すようになったのは、高校のときに生徒会長になってからです。その就任のスピーチではひどい話をしてしまい、全校生徒(一部の親友を除く)を敵に回し、先生方から顰蹙を買ったのは今でもいい思い出です。そういうこともあって、あるとき自分を改めました。「”君は話がうまいね” と言われて褒められていたのは小学校時代までで、今の自分はスピーチが下手糞なんだ。今ならサッカー部の連中のほうが面白い話をするだろう。だから、練習するしかない。」
その後に迎えた、卒業式での送辞スピーチ。恩師に付き合ってもらって、原稿を50回くらい何度も書きなおして(当時からブログを毎日続けていたので文章を書くのは好きでした)、スピーチの練習はたぶん200回以上。1ヶ月前から放課後に教室に残って発声練習を行い、呼吸のタイミングまで全てシミュレーションしました。ほとんど暗唱できるレベルまで原稿も覚えてしまい、当日の状況も全てイメージトレーニング済み。準備は整ったから、本番でどれだけ想いを込めて話せるかという段階でした。
完璧な状況で臨んだ卒業式当日。結果、どうなったか?
すごいことが起きた。会場がしんとなった。僕の話を聴いて、泣いている人がいた。生徒会主任の先生からは「私の教員人生14年間で一番よかった」というコメントをもらった。そして、じわじわと卒業生の親御さんから「感動した」「ありがとう」という声が届くようになったのです。”
〜引用ここまで〜これを読んで思い出しました。
言葉というのはあくまで容れ物でしかないことを。
Jewellery Box / joeflintham
大事なことはそこに何を載せるか。
つまり、何を伝えたいかということ、です。
めちゃくちゃ当たり前のことなんですけどね。でも、ついつい目的と手段が逆になったり、目的自体を忘れて手段にばかり気を取られたり。
もちろんテクニックは必要。それは楽器の演奏と一緒です。
ある程度の技術がないと、そもそも伝えたい想いを表現することができません。
でもある一定レベル以上からは、何を載せるか。何を伝えたいか。その想いと、そしてどこまで本気で伝えたいと思っているか。
それが大事だと思います。
だからこそ、徹底的な練習が必要なんですよね。
本番で楽器を弾くことに集中するのでなく、想いを伝えることに集中するために。
プレゼンだけでなく、コミュニケーションに関わるあらゆることに通じることだと思います。
もちろんブログだってそうですね。
だからこそ、呼吸するかのごとく自然に書いたり話たりできるよう、日々精進ですな。
他にも実体験に基づく、とても良い記事なので、折りにふれ読み返しています。
良い話し手になるための6つのエッセンス / mocchiblog.com
P.S.
文中内で出てきた鶴田さんにアドバイスをする勝屋久さんについては、以前こんな記事を書きました。
勝屋久さんから学ぶ「受け取ること」の大切さ。 | カジケンブログ
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