人はそれに気づく。

先日ディズニーランドに遊びに行って、ちょっとびっくりしました。
駐車場へ車を停めようとしたとき、前をディズニーバスが走っていたのですが、

マフラー(排気口)の形がミッキーだったのです。

運転中で写真撮れなかったので、どなたかのブログの写真を拝借。



榊 玲奈★明日は明日の風が吹く★zero – 楽天ブログ(Blog)より

こんなの普通絶対気づきませんし、実際このブログ書かれた方も写真にばっちり写っているのに気づいていません。

ディズニーがどのレベルにまでこだわるのか、がはっきり表れていると思いました。

神は細部に宿る

このバスを見て、スティーブ・ジョブズ逝去にあたっての彼の生前のこだわりを伝える元アップル米国本社副社長の福田尚久さんのインタビューを思い出しました。抜粋してご紹介します。

「スティーブ・ジョブズさんのスピリットは生き続ける」福田尚久さん | 制作後記 | クローズアップ現代 スタッフの部屋:NHK

(ジョブズが亡くなった際に個人的に最も心動かされたインタビューです。未読の方はぜひ。全文は16,000字と長文なのでお時間あるときに。)

(文中の太文字、カッコ、中略は、筆者によるものです)

要するに企業のベースというのは、製品かサービスのどちらかをお客様に買っていただいて存続しているのだと。というか、それだけなのですよね。だからそれ以外の、サポートが大事だ、いろいろなことが大事だけれども、根本は製品やサービスで、それをお客様にご提供する、そこが最大のお客様との接点だと。そこを妥協してどうするのだ、なのですよね。そこにこだわらない会社はおかしいのだと。だから、自分がこだわっているのではなくて、もし自分がこだわりすぎだというやつがいるのだったら、こだわってない、そっちがおかしいと。そこはもうとにかくこだわって、最高のものを作ってご提供しようと。

 

(MacWorld Tokyoの事前会場チェックに来たジョブズが)その会場に非常に大きな飾り物があって。そこにぶらさがっている、針金っていうか、ピアノ線があって。相当の高さですから普通気づかないのですけれども。そのピアノ線が「輝きすぎている」ということを、ひとことポツっと言ったのですよね。別にそれ以上、何も言っているわけではないのです。

=中略=

で、すごく大変だったのですけど、やり直しましたと。製作にあたっている方々も、もう大変な文句でしたけれどね。けれども僕が思ったのは、いろいろなところに気づくはずなのだけれども、その中を「あ、そこか」というところを、ほんとにその一点だけを指摘しているのですよね。で、そこに対して、ちゃんと受け止めて変えた方がいいと思って変えたと。で、その時点で、わたしは気づかなかったけれども、それから翌年、またその翌年、もうマックワールドとかのイベントをやるのはすごく楽になりまして。なぜかというと、その一点によって製作に関わるすべての人がほんとに細心の注意を払うのですよね。ほんとに細かいところまできちっと注意をして、ちょっとでもだめだったらやり直す。要するに妥協しないということを、その1つの、ひとことの言葉だけで伝える。あとはそれを実行したことによってもう浸透している。浸透している状態で何百人も関わりますから。何百人ひとりひとりが全神経を払って作り上げると、やっぱりいいイベントができるのですよね。
そのときに、まあこれも1つの口癖のように言っていたのが「人はそれに気づく」。「人は、人間は気づくのだ」と。要するに人間の感性に対しての、人間に対してのリスペクトなのですよね。「この差は気づかないだろう。我々は作っている人たちだ。我々は気づくけれども、買ってくれるお客さんは気づかないよね」という考えではないのです。お客さんひとりひとりは、絶対気づくと。気づくっていうのは「あ、これは、こうした方が、ほんとは良かったのに」っていうふうに気づく人もいるし。一方で「んー、なんとなく、んー、ちょっと、あの、いまいちだよな」という気づき方もあると思うのです。気づき方にいろいろ幅があると思うのだけれども。とにかくその「気づく」ということは、アップルが作る製品の良さにつながっているのだと思うのですけど。基本は、ちょっとでもベストじゃなかったら気づかれてしまう。だから自分たちは芸術作品を作るように、1つ1つ仕上げていくのだっていう考えなのですよね。人によっては、会社の中でも「彼のわがままが来た。満たしてやる必要はないよ」という人も大勢いたのですよ。そういう人がいたとしても、お客さんのために何がベストなのかを尽くそうと考えていくと、ほんとに細部のところにこだわるのはすごく重要だと思うのですよね。

 

 

(当時トップシークレットのプロジェクトだったアップルストアのプロトタイプについて)日本円でいうと何億円か、かかっていると思うのです。そのくらいの数の試作を延々と続けて。形、色、素材、ほんとに最高のものを作り上げていくと。そこまでいろいろなところに細部に目を配って、神経を注いで作ったものは、人がお店の中に入って来て受け止めたときに、必ずそれを感じとってもらえると。確かにいろいろな芸術の作品とかで、芸術家の考え方だとか、エネルギーとか、時間も含めて、いろいろなものが凝縮されて入っているものを見ていて非常に感動を受けますよね。感銘を受けますよね。それと同じ感じを、お店においても作るのだと。だからそのためには妥協はまったくないし、とことん追求すると。で、もうこれで、もうこれ以上はできないってところまでやるのですよね。当然、周りからすると予算の問題とか、当時はそんなに財力がなかったから「そこまで投資して大丈夫なのか」という人も随分いました。けれども、それだけのものを作って、今度は店員がひとりひとりが、それだけのエネルギー、精神、スピリットが埋め込まれている場所でお客様に接しようと思ったら、お客様ひとりひとりに対してきちっと受け答えをしなければいけないという考え方が生まれるのだと思うのですね。

 

共通するのは、顧客との接点に全神経を傾け、最高のものを提供しようと心掛けること。

アップルだってお金を掛けないところ、コストを徹底的に抑えるところは当然あります。ディズニーもきっとそうでしょう。そうでないと、いくら客単価が高くても利益なんて出ません。だけどそれは、自らがここ!とこだわる点に対して集中的に投資するため。

そしてそれは事業という単位だけでなく、個人の仕事に落とし込んだとしても同じことだと思います。

例えば、効率的に仕事をすることはビジネスパーソンにとって基本中の基本。
しかしそこから先にある、(効率化で生まれた時間を使って)自分は何にこだわるのか、妥協せずに追求するものは何なのか。

人はそれに気づく。

個人的に大好きな言葉です。

事業とは。仕事とは。いろんなことを考えさせられた一日でした。

Facebookページ、こっそり始めてみました。(160超えた!やっほーい!)

ちなみにカジケンの会社、絶賛エンジニア募集中です!(笑)