写真館は超高級プリクラ。

先日、家族の集合写真をデパートに入っている写真館で撮って来たのですが、驚きました。

まー価格がアレなのは置いておいたとして。数十枚撮影した写真の内、印刷する写真を一枚選ぶのですが、その期日が一週間後。そして再来店して写真を指定し、納期を確認したら、なんと1か月後・・・

そして極めつけは、デジタルデータはもらえないとのこと・・・

スタジオアリスとかだとまだ価格も納期もかなりマシみたいですが、でもどちらもデジタルデータはもらえないそうです。

いやー今の時代、それはないでしょ・・・

撮ってもらった写真自体は本当に素晴らしいんです。光の具合も、表情も、絶対に自分では撮れないもので、良い記念になりました。

とはいえ。

少子化で子供一人に掛けるお金が増えたからといっても、子供の数は減り続けているわけで、このまま行ったら市場自体は縮小していくのは確実。にも関わらず、写真館って旧来のアナログ時代のビジネスモデルを引きずってる感じがして、なんだか切なくなりました。




 

写真館というのは「超高級プリクラ」なんじゃないかと思います。

語弊があるようであれば逆の言い方をして、「プリクラは超カジュアルな無人写真館」と言い換えても良いです。

どちらにも共通するのは、

「誰かと一緒に」

「何かを記念して」

「加工された」

写真を撮る場所ということ。

記念というと大げさですが、要は何かをお祝いしているわけです。

プリクラは、友だちと「仲が良いこと」を祝っていて、写真館は、ライフイベント(結婚、出産、七五三など)を通した「家族の安寧」を祝っている。

つまり「誰かとの関係」を祝福している。

そう考えると、祝福するカジュアルさの極点をプリクラ、写真館を反対側の極点とすれば、その間には結構色々と眠っている需要があるんじゃないかなーと思います。

例えば、チームビルディング。

自分が行った写真館には、スタバの店員さん10人ぐらいで撮った写真が飾ってありました。

全員があの緑のエプロンにタンブラーを持ち、思い思いのポーズを取っていて、光の加減も相まってもうむちゃくちゃ素敵な写真でした。構図も含めてプロのカメラマンだからこそ撮影できる写真。

おそらく店長含め仲が良い店舗なのだと思いますが、あの写真は店員さんそれぞれにとって良い記念になると同時に、きっと働いている店舗と仲間をすごく誇らしく感じるきっかけになったはずです。

日常の自分をスマホでさくっと撮っても自分を誇らしくはなかなか思わないでしょうが、それなりの服装をしてきちんと撮影してもらったら「ふむ。俺もなかなかやん・・・」と自画自賛してしまいません?(私だけ?)

それは自分が関わっている人達、コミュニティに対しても同じだと思います。

だからスタバとかマクドナルドみたいな店舗で働く人達や、会社のプロジェクトメンバーの決起集会みたいな時にこういう写真を当たり前のように撮ってもらうのって全然ありだと思います。

でも、今の写真館が致命的なのは、冒頭に書いたように納期が遅い&デジタルデータがないことなんですよね。

撮影したものを見たら、きっとテンション上がるんです。だけど、今の時代撮影したその場で受け取れないのはきつすぎるし、誰かに見せたいと思ってもデジタルデータがないのはさらに痛い。

プロの技術は素晴らしいのに、それを享受するためのハードルが高すぎる、というのがなんとも。

結婚や七五三などのライフイベントには、社会的な慣習であるという「強制力」と、人生において滅多にない機会という「希少性」があるので、コストの高さ、納期の遅さ、デジタルデータがないみたいな不便な点は顧客からある意味度外視してもらえますが、逆にこれらが新しい市場の開拓のボトルネックにもなっているわけで。

だからきちんと解消できれば、上記のように市場は他にもあると思いますし、写真というもの自体は、かなり有利なポジションにいるのではないかと思います。

なぜなら、ソーシャルメディアのおかげで我々が普段目にする写真の流通量は昔と比べものになりません。で、質が高い写真であれば、それだけで目立つ。つまり、あっという間に拡散する。

だから家族の記念写真という市場だけを見るのではなくて、写真自体の流通量はデジタル化で飛躍的に増えているわけだから、その大きな流れにどうやったら食い込めるかと考えていったほうが健全だし、写真館の競争優位性は写真撮影の技術なんだから、それを出来る限り多くの人の目に触れるようするにはどうすべきかを、徹底的に考えていけば面白いのになぁ。

要はデジタル化の波に抗ってジリ貧になるより、思い切って波に乗りに行く。デジタル化のポジティブな面を直視し、それを活用して新しい市場を創る。

日本では出版業界が代表的ですが、他にも昔からの業界でブレイクスルーできそうなところって色々あるのではと思った日でした。



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ちなみにカジケンの会社、絶賛エンジニア募集中です!(笑)