備忘録も兼ねて。
先日の記事を書くにあたって、過去にジョブズについてブログで書いたものを読み返していたのですが。
スタンフォード講演に感動した全ての人へ:スティーブ・ジョブズ1995 ~失われたインタビュー~ | カジケンブログ
その中で、昔自分が書いたこの一節を見て、思い出したことをつらつらと。
” 例えば、効率的に仕事をすることはビジネスパーソンにとって基本中の基本。
しかしそこから先にある、(効率化で生まれた時間を使って)自分は何にこだわるのか、妥協せずに追求するものは何なのか。”
(ちなみにこの記事、個人的にすごく好きです)
ずいぶん前になりますが一時期、ライフハックと呼ばれるものにものすごく凝っていました。
「効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げ、人生のクオリティを高めるための工夫。」
ライフハックとは – はてなキーワード
時間管理、メール術、プレゼンテーションの仕方、集中するための方法論など、まー色々ありますが、何かが紹介されるたびに試したんじゃないですかね。MacやiPhoneのアプリやサービスも、新しいものは片っ端から使ってました。
凝り性な性格もあり、かなりサクサクと効率的に日々を過ごしていたと思います。
Moleskine Planner 2006 / Jacob Haas
「んで、お前は何したいの?」
ある日、友人の一人と飲みの席で、自分が身につけた数々のライフハックや、使っているアプリを紹介していたとき。
長くいた環境から飛び出し、海外で大きなチャレンジをしようとしていた彼がふと
「勉強なるわ。んで、お前は何したいの?」
突然の問いかけに、頭が真っ白になり、もごもごしていると(苦笑)、それを見て冗談めかして煽るようにひとこと。
「LifeHackじゃなくてLifeFxxKやな。」
(帰国子女だった彼のFの発音キレイだったなぁ・・・)
ありがちな話ですが、気づけば効率的に過ごすこと自体が目的になっていたようです。
冒頭でジョブズの記事を紹介したのでたとえると、会社経営でいえば華やかなイメージとは裏腹に、アップルはコスト改善は徹底的にやっています。中国の組み立て工場から日本への輸送コストをどうやったら対前年比で常に下げられるか、みたいなことをひたすらやってたりします。
ブランド力のおかげで価格設定を高くできるから利益率も高いとか言われますが、そんな単純な話ではない。むしろ赤字を垂れ流していた昔のほうが(市場価格からの相対的な)価格が高いぐらい。ではなんで今利益が出ているかというと、利益が出る体質に変わったわけです。
で、弛まぬ効率化で生まれた利益を使って、イノベーションを起こすべく投資をしていく。
効率的なイノベーションなんてない。
イノベーションって言っちゃうと個人にとってはあまり関係ない響きになってしまいますが、言い換えるなら
「どれだけチャレンジするか?」
であり、「どれだけ難易度が高いことに挑むか?」
であり、「どれだけ失敗をするか?」
と言えると思います。
チャレンジの回数を多くするために、より難易度が高いことに挑めるように、失敗をしても立ち直れるように、それ以外を効率的に無駄なくするべきなのでしょう。それは時間やお金やさまざまなリソースと呼ばれるものだったりします。
ライフハック系の話に凝ってしまうと、ふと気づくと楽をすること自体が目的化しちゃって、で、結局なんのために楽しようとしてたんだっけ???ってことになったり。
辛いこと、苦しいことからとりあえずどうやって逃げるのか?という姿勢だけが身についてしまったり。
そんな可能性があることを忘れてはいけない。
ライフハックは包丁みたいなものです。それ自体は良いも悪いもない。
だけどそれをどう使いこなすかは、使う人次第。
楽をすること自体は全然悪くない。けれど、何のために楽をするのか? どこかできちんと向き合わないとダメだよなー。
そのことを思い出しました。
P.S.
もちろん、必ずチャレンジしなきゃいかん!!みたいなことを言うつもりはありません(笑)
いずれにしても、効率化は、非効率な何かのため。
それは家族との時間、趣味、将来のためのスキルアップ、なんでもいいけど。
自己目的化しちゃダメだよねって話ですな。
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