今まで一緒にお仕事させてもらった方の中に、凄い営業の方がいます。
その人が交渉に行くと、
どんなに厳しい内容の交渉でも、相手がどんなに偉い立場であっても、
ミーティングの最後には交渉相手が笑顔になって、
「Nさん、また来てよ。」
と言わせてしまう。もちろん交渉も成立して。
そういう人です。
一緒に商談に同行させていただいたこともありますが、もう本当にそのとおり。
そして凄いのは、商談時に隣で話を聞いていても、
「精緻なロジックで相手を理詰めで納得させていく」
でもなく、
「強気にこちらの要望をごりごりと押していく」
でもなく、
「ただひたすら頭を下げる泣き落としをする」
でもなく、
営業のテクニックとしてここが凄い!!!みたいなものは特段ない。あるとすれば、相手の言っていることをよく聞く、そして否定しない、というところぐらいでしょうか。
でも彼と話をしているだけで、みんな心が次第に明るく愉快になってきて、目の前のことを肯定的に考え始める。そういう空間をどんな場であっても自然と作り出してしまいます。
smile / the_moment
もちろんご本人のプロフェッショナルなビジネスパーソンとしてのスキルや経験がベースにあってのことなのですが、はっきりしているのは、
「彼の本質的な凄さはテクニックではない」
ということ。
「あれは真似できない」と優秀な同僚たちが口を揃えて言っていました。
要は同じ振る舞いをしたとしても、同じ結果を出せないだろう、ということです。
で、あの異常なまでの交渉力は何が秘訣なんだろうとよく話をしていたのですが、ある日彼の席に張り紙がしてあるのを見つけました。
お札のような縦長の紙に、筆書きで
「常に心に喜神あり」
と書いてあります。
本人に意味を聞いてみると、
「喜神とは楽しみ喜ぶ心を指していて、いついかなる時でもそれを忘れずにいようと思っている。」
そう仰っていました。
確かにその人は、仕事の上でどんなに崖っぷちな状況であっても、常に笑いを忘れず、周囲を和ませ、リラックスしているんですよね。
なるほど。
本当に大事なことというのは、
どのようにするか(Doing)
ではなくて、
どのようにあるか(Being)
ということなんだ、と一同で腑に落ちた記憶があります。
喩えとして正確ではないかも知れませんが、テクニックって、雨の日には傘をさす、みたいな外部要因に対する対処方法であるのに比べて、雨の日でも晴れの日でも、常に機嫌よくいる、みたいな違いだと思うんですよね。
もちろんテクニック(Doing)も必要だし重要です。
だけど、ついついそちらに流されて、Beingのほうがおろそかになると本末転倒。
人によってそのBeingの中身は違うでしょうが、「常に」どうありたいのか、ということは意識しておこうと思います。
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